平成7年10月に沢田内科医院を開業して15年が過ぎました。 ちょっと落ち着いた開業6年目から「沢田内科医院ニュースレター」を発行してきました。 5年前にそれまでの30号をまとめて『鶏肋その1』として発行しました。 今回、予定通りその後の5年分をまとめて『鶏肋 その2』として発行することができました。2,000部の限定印刷です。
『鶏肋』という名前は、弘前高校時代の校長だった小田桐孫一先生の論説集『鶏肋抄』からいただきました。 鶏のあばら骨は食うほどの肉はないが、棄ててしまうには惜しい気がするというものです。 2ヶ月に1回の発行ですが、その時の私の考え方、医院での出来ごと、働いてくれている人たちの状況など、沢田内科医院の歴史が積み重なっています。 やはり、私にとっては棄ててしまうのは惜しいものです。
2冊目の『鶏肋』を発行するにあたり、私の恩師である元弘前大学学長の吉田豊先生が寄せ書きを書いて下さいました。 吉田先生からは、医師としての直接的な指導はもちろんですが、私的な面でもいろいろな影響を受けました。 特に、昭和57年から2年間アメリカのメイヨー・クリニックへ留学したのは、吉田先生の推薦によるものでした。
メイヨー・クリニックへは研究留学でしたが、指導教授であるProf.Bowieは、 「あなたは日本へ帰ったら臨床をやるのだから、アメリカの臨床医学に触れた方がいい」とセミナーやカンファレンスに積極的に参加させ、 病院での回診への参加も手配してくれました。この経験が今の私の基礎になっているような気がします。 また、この時に身につけた英語は、インターネット時代の共通語ですので、現在の私の情報収集にどんなに役立っているか計り知れません。 現在、私がこうして医師として活動できるのは吉田教授が率いる弘前大学第一内科でトレーニングを受けたお陰ですので、 ここで改めて御礼を申し上げます。
「沢田内科医院ニュースレター」を発行したのは、私たちが何を考えながらどのような医療を行っているかを 通院している患者さんに知ってもらうことが目的でした。 そのためには、直接的な記事もありましたが、身の回りで起こっているニュースを私がどのように感じているかを書くことで 間接的に思いを伝えたこともありました。 また、どのような職員から医療サービスを受けているのかを知ってもらうためには、これも直接的な話題に加えて、「医院でのこぼれ話」などで 医院の状況をお知らせしました。
「患者中心の医療」は理想です。しかし、私は、「医師中心の医療」と「職員中心の医療」を行うことで、 結果的に「患者中心の医療」につながると考えています。最初に「患者中心の医療」を位置づけると、とても持続できませんから。 自分が健康でなければ医師として正常な判断はできません。職員が楽しく仕事ができなければ患者さんに対して優しく接することはできません。 まずは、私自身が精神的にも身体的にも健康であることを心がけ、職員が安心して楽しく働ける沢田内科医院を作っていきます。 その積み重ねとして、5年後には『鶏肋 その3』が発行されることをご期待下さい。
第61号より