医院でのこぼれ話
私の父と同じ年だという齋藤さん(仮名、84歳男性)は、外来の診察が終わってシャツのボタンをかけようとしていました。
しかし、手が思うように動きません。
それを見て、若手看護師の福井絵梨果さんが手伝っていた時のことです。
- 齋藤さん
- 「わげ嫁っこほしな・・・・。」
(日本語訳:若いお嫁さんが欲しいなぁ・・・・) - 私
- 「齋藤さん、80過ぎて若い嫁っこはないでしょう・・・・。」
- 齋藤さん
- 「なもよ、息子の嫁っこよ。」
- 私
- 「それだば分がる。」
- 齋藤さん
- 「息子の嫁っこ、こうやって手伝ってければ、いいなぁど思って・・・・。」
ちょっとの間でしたが、齋藤さんは絵梨果ちゃんと幸せな時間を過ごしたようでした。
昨年末、福井さんに
- 私
- 「まさか、まだお年玉もらってるわけじゃないよね。」 と言うと、
- 絵梨果
- 「・・・・、もらってます」
- 私
- 「大人になって給料もらってるんだから、今度はおじいちゃんにお年玉を上げないと」
とアドバイスしました。
先日、福井さんが「じぃ」と呼ぶ東目屋に住むおじいちゃんが医院へ来ました。
- 私
- 「今年はお年玉どうでした?」
- 絵梨果のじぃ
- 「もらいました!、ハハハ」
元気な声で孫の成長に嬉しそうでしたが、後姿は何かさみしそうでした。 孫にお年玉を上げることができなくなったおじいちゃんに何か悪いことをしたかなぁと思いました。
ニュースレター
第68号より
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