医院でのこぼれ話


今から90年ほど前に、ドイツで「奥さま お手をどうぞ」という映画が流行ったそうです。この題名を津軽弁で言うとどうなるでしょうか? 私はこれまで、瞬間的に津軽弁に訳した人を2人知っています。1人は、25年以上前、私が青森県立中央病院に勤務していた当時の神経内科部長で、平賀町出身の津軽弁使いでした。ちなみに、現在、青森市医師会で活躍中の先生です。

2人目は、25年前に弘前市立病院に移ってすぐのことでした。津軽弁が達者な外来の看護師に、「奥様 お手をどうぞ」を津軽弁で何と言うかと尋ねたら、タイムラグなしで答えが返ってきました。全く、神経内科部長と同じでした。

さて、先日、沢田内科医院の外来でのことです。私とほぼ同じ年齢の齋藤悦子さん(仮名)と津軽弁の話になりました。話しっぷりではそれほど津軽弁使いとは思わなかったのですが、試してみました。

「齋藤さん、『奥様 お手をどうぞ!』を津軽弁ではどう言いますか?」

何と、間髪を入れずに、

齋藤さん
『かちゃ 手どら!』

これにはビックリです!! これまで、史上2人しか訳せなかった文章の津軽弁訳が、20数年の歳月を置いて、ヒントなしで瞬時に全く同じ文章で返ってきたのです!!

津軽弁が分からない人たちに解説です。「かちゃ」は、「お母さん⇒母さん⇒かっちゃ」となります。「どら」というのは、「どれ、ちょっと手を出して見せて⇒どれ、手を⇒手どら」となります。