医院でのこぼれ話


少し耳が遠い佐藤さんです。前に、胸が苦しいと訴えていたので、その後、どうなったか聞いてみました。

「佐藤さん、胸苦しくないですかっ!」 と、耳に近づいて大声で、
佐藤さん
「・・・・・・・・。」
「胸が苦しくないですか?」
佐藤さん
「・・・・・・・・。」

看護婦の舘下さんが助太刀です。

舘下さん
「胸、苦しぐねがって。」 と、それほど大きい声ではないが尋ねると、
「胸が苦しくないですか?」
佐藤さん
「苦しぐね。」
「佐藤さん、どうして、男の声は聞こえないで、女の声だば聞こえるんだべ。」
佐藤さん
「・・・・・・・・。」
舘下さん
「どうして、女の声だば聞こえるんだべって。」
佐藤さん
「左耳、聞こえねんだ。」 と。

そうしてみれば、佐藤さんは斜めに坐っていて、私は左耳、舘下さんは右耳に近づいて話してました。