専門学校に在学しながら4年制大学に在学して勉強するシステムがあります。むずかしい言葉では併修制度というようですが、ダブルスクールといいます。弘前市医師会看護専門学校では放送大学と連携してダブルスクール制度を作り、この4月にスタートすることになりました。

弘前市医師会看護専門学校は准看護学科が2年、看護学科が3年の合計5年です。ダブルスクールの場合は、4月に准看護学科に入学し、引き続き10月に放送大学に入学します。看護学科3年生で放送大学を卒業する最低条件である4年間の在学を満たします。

放送大学では、主にインターネットを使った通信教育で4年間に64単位を取得します。看護専門学校看護学科の60単位が大学の単位として認められますので、合計で124単位となり、看護専門学校を卒業すると同時に放送大学を卒業することができます。放送大学からは教養学士が授与されますが、その後、論文を提出して試験に合格すると、大学評価・学位授与機構から看護学士が授与されます。

ダブルスクール構想については、弘前大学構内にある放送大学青森学習センターに相談に行きました。詳しいことが解かりませんでしたので、昨年12月に千葉県にある放送大学の連係教育課という部署から弘前に説明に来ていただきました。その後、メールでやり取りして細かい疑問点が解決し、連携して今年の4月からスタートできることになりました。

弘前市内には看護師養成機関が5つあります。弘前大学医学部、弘前学院大学看護学部、弘前医療福祉大学看護学部の3つの大学と、国立病院附属看護学校、それに弘前市医師会看護専門学校の5つです。特に、3つの大学の定員は合計で200人です。国立病院と医師会が40人ずつです。

4年制大学の定員が200人で国立病院の定員が40人ですので、看護師を希望する優秀な高校生に入学してもらうためには、大学に負けない魅力がある看護専門学校にする必要があります。経済的な面では弘前市医師会の全面的なバックアップがありますし、さらに勉強する意思がある学生には看護学士の学位を取得してもらい、4年制大学卒業と同等の資格を身につけて社会に送り出してやりたいと考えています。

全国的に見ても看護師国家試験の合格者は約53,000人で、そのうち大学卒業者が約16,000人です。社会に出て働いていると、大学を卒業した看護師がたくさんいることになります。また、専門看護師等は大学院レベルに位置づけられる状況にあります。弘前市医師会看護専門学校の卒業生はこの状況にさらされるわけですが、意欲のある学生はこれに対応できる状況が整備されたことになります。

平成21年12月に弘前市医師会付属高等看護学院は専修学校として認定され、平成22年4月に弘前市医師会看護専門学校となりました。教員数や教育環境が整備され、教育内容が大学と同等と認められました。つまり、取得した単位は大学の単位と同等となったのです。この結果、4年制大学に編入することができるようになりました。

この看護専門学校のダブルスクール構想も沢田内科医院で行っていることから出たものです。平成23年3月の卒業生が専修学校1期生となりますが、この時に卒業したのが職員の小堀未希さんでした。すぐに放送大学3年に編入して卒業し、その後、大学評価・学位授与機構から看護学士が授与されました。

小堀さんが放送大学を卒業する過程でダブルスクール制度の存在を知り、どの程度の負担であるのかも分かりましたので、それを看護専門学校で行ってみようと思ったわけです。何ごとも、いろいろなことを行っている間に新しいアイデアが出てくるものです。

私は弘前市医師会では看護専門学校担当理事で副学校長の役割をしていますので、たくさんの優秀な高校生が弘前市医師会看護専門学校を志願して欲しいと思っています。弘前市医師会では、地域に貢献する看護師を養成するために、経済的な面で進学がむずかしい学生を全面的にバックアップしています。