新型コロナウイルスに振り回されて3年。医師会関係の講演会はリモートで行うことが多くなり講師の先生方と直接会うことが少なくなりました。私はアルコールが全くダメなんですけど、講演会が終わった後に鍛冶町へ繰り出して交友関係を深める機会も少なくなってしまいました。ちょっとコロナにばかり気持ちが行き過ぎてゆとりのある精神状態になることが少なくなってしまったような気がしています。
そこでこの春、夏になったらベランダでゆっくりコーヒーを飲んだり本を読んだりしてみたいなと思うようになりました。思い立ったが吉日、さっそくベランダを造ってそこで優雅な夕方でも過ごしてみようと計画しました。居間と連続にしてすぐに出られるようにし、椅子もその度に物置から出すのではなく雨の日もそのまま出しっ放しにしておく。
いつもの建設会社にお願いし、早速造ってもらい7月には完成。ところが目論見とは違いベランダでゆっくり過ごすなんてできませんでした。この夏の猛暑のためです。夜8時頃にベランダに出ても空気がボーっとする暑さでは優雅な夕涼みどころではありません。夏の間は家の中にいてクーラーです。そのクーラー、冷え過ぎると手と腕の皮膚が痛くなる。両手だし、お風呂に入って温まると消えるので病気ではないみたいだしと自己診断。これも老化現象なのか。
さて、暑さ寒さも彼岸まで。とはいうものの今年は違いました。日中の明るい時間がだんだん短くなってきた9月の中旬が過ぎても暑い日の連続。彼岸の中日の秋分の日は休日、23日にやっと外で椅子に座ってゆっくり過ごすことができました。
ベランダは8畳間程度の広さです。見た目は木造にしました。メインテナンスのことがありますので柱は木ですが大部分は見た目の木造です。居間の床の高さとベランダの高さはほぼ同じにしています。これからの老人の体の不安定さと遊びに来る孫たちの安全を考えて折り畳み式の椅子は使わずキャンプで使う椅子。テーブルは置かず仕事もできるように木製の長い机。ベランダに続く車庫の上はコンクリート張りですのでそことつなげてバーベキューもできるように。
さて、ゆっくりベランダで過ごして精神状態を安定させようとの目論見。暑さのせいもありましたが、やっぱり医師会の仕事が忙しくてベランダでゆっくり過ごすことができません。人生七十、古来稀なり。古稀を過ぎましたのでゆっくり過ごしたくなりました。孫のママには「こうしているうちに孫が大きくなってしまいますよ!」と言われています。ゆっくり孫たちと過ごす時間も欲しくなりました。私も残された老後の時間をどのように過ごすかを真剣に考えないといけない年になったということですね。医師会の中でも若手、中堅と言われていましたが、今は上から2番目ですから。
老後?また疑問が湧いてきた。老後?老いた後。この言葉は文字通り解釈できないですね。老いてしまった後が老後ではなく、老いている最中のことも含んで老後というみたいだから。なんだかんだと抵抗しないで素直に受け入れます、老後。
第136号より