大腸がん検診は便潜血反応という方法で行っています。これは大腸癌があれば、便に血液が混じってく るという理論に基づいています。そして、重要なのは 「毎年受ける」ということです。なぜでしょうか?
便潜血反応は、早期大腸癌では約50%が陽性となります。つまり、早期大腸癌の半分が1回の便潜血反応で見つかります。 大腸がん検診を1回しか受けなければ、早期大腸癌の半分は見逃されてしまうのです。 2年続けて受ければ、1年目に見つけられなかった大腸癌の半分が見つかります。 つまり、2年続けて大腸がん検診を受けると75%が見つかることになります。 これを繰り返していくと、3年目では88%、4年目で94%、5年目で97%が見つかることになります。 大腸癌の進行は比較的ゆっくりですので、5年連続で検査を行うとほぼ全員が見つかることになるのです。
大腸の病気を疑って便潜血反応検査を行い、これで異常がないから大腸の病気はないと判断することはありません。 2回の便潜血反応の1回が陽性で、大腸の検査がイヤだからともう1回検査をして陰性だから異常がないと判断することも誤りです。 便潜血反応が1回でも陽性であれば、必ず大腸内視鏡検査を受けて下さい。
宮城県での調査では、大腸がん検診で診断される大腸癌は全体の25-29%と言われています。 つまり、お腹が痛いとか便に血液が混じって気がついたとか、症状があって大腸癌と診断されている人がまだまだ多いということです。 ぜひ、このような症状が出る前に、大腸がん検診で診断される数が多くなってほしいものです。 そうすると手術をすることで助かる人が多くなるということですから。 また、症状がない段階で見つかる癌は、お腹を開ける外科手術では なく、内視鏡で手術をして治療できる癌が多いことも特徴です。
1年間に癌で亡くなる人は約35万人で、その中で肺癌が7万人です。 しかし、発症するのが最も多いのが胃癌で約12万人、次が大腸癌で11万人です。 死亡数は胃癌が5万人、大腸癌が4万人です。胃癌と大腸癌は内視鏡検査をすることで早い時期に診断ができます。 必ずがん検診を受けましょう。そして、「早過ぎる死」を迎えないようにしましょう。
なお、がん検診は市町村が行うことになっていますので、弘前市に住んでいる人であれば誰でも受けることができます。 また、別の形で大腸がん検診と同じ ように検査ができますのでご相談下さい。 年代によっては弘前市からクーポンが送られていると思いますので、これもぜひ使用して下さい。
第68号より