日本の平成24年度の国家予算は90兆円です。収入を見ると税収が50兆円、国債が40兆円です。 国債は返済する必要があり、元本返済22兆円、利払いが10兆円となっています。 つまり、借金は来年18兆円増えます。日本の借金は1,000兆円と言われています。単純に国債だけが借金ではないのでしょうが、莫大な数値です。
沢田内科医院の予算と比較してみるまでもなく、開業医であればこの状態では経営を続けることはできません。 総予算の約半分が借金で、それが雪だるま式に増えていくのであれば、とても責任を持って経営を続けていくことはできません。 利息の支払が予算の11%では、銀行からの借り入れ自体ができませんから経営破綻です。
これに対して消費税の増税が提案され、マニフェストで消費税を上げないと言っていた民主党は、 消費税を段階的に5%から10%に上げる案を決定しました。 マニフェストに反する消費税増税は筋が通らないと民主党からは離党者が出ました。増税策を打ち出した野田首相の支持率はがた落ちです。
しかし、とても議論して出てきたとは思われないマニフェストを守ることが筋を通すというのは現実を無視しています。 選挙のマニフェストでことが決まるのであれば、その後の国会での議論は要りません。 民主党離党者は自分の選挙事情で離党したのが事実でしょうし、消費税を上げるタイミングもうまく選挙を意識して決定されています。 自民党はマニフェストで消費税10%と言っていますが、民主党政権が上げるのには反対のようです。これも選挙を意識したものでしょう。
自分たちが選んだリーダーを支持しないという構造は、小泉政権の後の風潮です。自分の国会議員としての地位が保てない状況になると、 すぐに態度を変えてしまう。自分の選挙で不利な状況になると、自分たちが選んだリーダーを支持しなくなる。 この結果が1年か2年で首相が変わる現在の日本の政治ではないかと思います。
二階に上げておいて、自分に都合が悪くなるとハシゴをはずす。何を目的に政治家になっているのかが分かるような気がします。 このような政治家を選ぶ私たちが悪いのでしょうけど、こんな状況は変えなければいけません。
税金は安いに越したことはありません。しかし、今の日本の経済破綻を招かないためには、所得税の増税も消費税の増税も私は必要だと思っています。 税金を上げる前に国会議員数を減らしたり、無駄を減らすのが先だという人がいますが、これも必要でしょうけど、 これらの対策でひねりだされる金額は高が知れています。現実的な対応は消費税を上げるしかありません。
ただ、今回の増税が赤字財政を立て直すためだけというのではなく、 税金は高いが社会保障がしっかりした社会を作るのだという方向性をはっきりさせて欲しいものです。 しかし、今の政治家にこのようなことを期待するのは無理かも知れません。
第67号より