3月に准看護師試験をパスしたひよこ3人がトレーニングを開始しました。 西谷鮎子さんと柴田ひとみさんは、2年前からアルバイトとして沢田内科医院で働いてきました。 免許が必要でない仕事はほぼ経験していますので、スムーズに仕事をこなしています。 2人とも社会人を経験した後に看護職につきましたので、人の扱いはさすがです。後は、注射と採血が上手くできるようになれば1人でできます。 私は2人のことを「ひよこ」と呼んでいましたが、井上婦長は、何を思ってか「若いツバメ」と言ってました。 この2人は子どもを産んだ女なんですけど。

成田華帆さんは3月から働き始め、しかも医療機関で働くのは初めてです。

先輩の小堀未希さんから病棟の仕事を教わる成田華帆さんです。 結構大きいひよこなので、皆さん、すぐに分かります。

やることが全て初めてのことばかりです。まず、受診した人のカルテを出します。 カルテは番号で整理していますので、時間外で番号が分からない時は、印刷された受診者のリストから探し出さないといけません。 番号が分かれば整理されたカルテを出すのは簡単です。 電話で問い合わせがあった時に、カルテ番号を聞くと思いますが、これはカルテを出す時に必要だからです。

診察の介助がまた大変です。診察をただ手伝っているように見えるかも知れませんが、診察後の指示を実行しなければなりません。 医療機関での診療はカルテに書かれていないことはやっていないと見なされますので、 緊急の場合を除いてすべてカルテに書かれたことに基づいて物事がなされます。 健診の時は書類の山です。血液検査などは伝票を作り、患者さんが次にどうするか的確に誘導しなければなりません。

検査がこれまた覚えなければならないことがたくさんです。採血した後の検査は貧血、肝機能、電解質、糖尿病など数種類の器械を使って行います。 それぞれの使い方をマスターしなければなりません。内視鏡検査は準備から、終わった後の消毒、保管の仕方、たくさんのことを覚えます。 レントゲン、超音波、心電図、骨密度、眼底カメラ、聴力検査、・・・・、小さな内科医院ですが、やっていることがたくさんあります。

点滴や注射の指示が出れば薬剤を用意して注射をします。血液検査の指示があれば同時に行います。ここが素人と違うところです。 何しろ、人の体に傷をつけても犯罪に問われないのですから。逆に免許を持っていると責任が伴うところです。最初は、患者さんも緊張します。 でも、実践でのトレーニングしかありません。内科医院ですが、火傷や切傷で受診する人は少なくありません。 傷を縫うこともありますので、その準備もできなければなりません。

院内処方ですので600種類ほどの薬の中から必要な薬を準備するのは看護師の仕事です。 錠剤を準備するのは簡単ですが、粉薬を1回ずつに分けるのが大変です。 まず、高校の理科の実験を思い出しながら重さを正確に理解して粉薬を準備します。 その後、器械で袋に詰めます。通常の勤務時間中であれば必ず他に看護師がいますので、誰かに助けを求めれば何とかなります。 しかし、1人で勤務する休日の午後と夜間はすべて自分で対処しなければなりません。 また、診療時間内であればもう1人のチェックを受けますが、時間外であれば1人で準備して薬を出します。 急患として受診する患者さんは年間600人はいます。時間外診療は通常の診療に比べて安全性に問題がありますが、この点をみても分かると思います。 沢田内科医院では、薬は看護師が直接患者さんに手渡しています。薬に間違いがないかを確認し、飲み方を説明します。 薬のことが分からないとできません。点数計算は事務が行いますが、会計も仕事のひとつです。

外来での仕事ができるようになると、病棟での仕事はほぼできます。ただ、夜勤はたった一人です。 夜9時頃までの見習いをして、その後、井上婦長が待機しながら1人で夜勤を経験し、独り立ちします。 柴田ひとみさんは5月3日夜に初めて1人での夜勤でした。心細かったかも知れません。

思いつくだけでも、これくらいのことを2ヶ月程度で覚えなければなりません。これを繰り返して一人前になって行きます。 沢田内科医院では、看護師はほぼ全ての業務が行えるようにしています。 半年もすると、何ごともなかったかのように普通に仕事をするようになります。 新人のトレーニングは患者さんの協力で成り立ちます。 見えるかどうか分からない血管を見つけてうまく注射する先輩看護師も、みんな初心者だったのです。ご協力をお願いいたします。