インフルエンザの季節になりました。今年も11月と12月にインフルエンザワクチンの接種をします。インフルエンザワクチンに限らず、ワクチンを接種する目的は2つあります。一つは、ワクチンを接種して自分がインフルエンザにかからないようにすることです。もう一つは、多くの人がワクチンを接種して、インフルエンザ自体が流行らないようにすることです。弘前市では、65歳以上の人にインフルエンザワクチンの助成をしています。その統計を見ると、昨年、弘前市では65歳以上の約50%の人がインフルエンザワクチンの接種をしました。

ウイルスは、人間を含めた動物の細胞の中でしか増えることができません。みんながワクチンを接種してインフルエンザにかからないようにすると、インフルエンザウイルスは自分の仲間を増やすことができませんので、インフルエンザは流行しないことになります。自分は大丈夫だからワクチンは要らないなどと言わないで、自分が暮らす社会の中でインフルエンザウイルスが増えないためにも、インフルエンザワクチンを接種しましょう。

さて、新聞を見ると、通常のインフルエンザの他に、『鳥インフルエンザ』や『新型インフルエンザ』という別のインフルエンザの話題が時々取り上げられています。『新型インフルエンザ』に対して、国ではガイドラインを出し、県では流行した時の行動計画を作ったり、医療確保のためのマニュアルを作ったりしています。アメリカでは、『新型インフルエンザ』は、テロに匹敵する危機管理が必要だと位置づけられています。

『鳥インフルエンザ』は、鳥の間に流行するインフルエンザで、通常は人には感染しません。それが、これまで400人弱の人に感染したと報告されています。この数字は、東南アジアや中国からの数字ですので、どこまで信頼できるのかは分かりません。いずれにせよ、『鳥インフルエンザウイルス』が人に感染することは事実で、呼吸器だけでなく腎不全など全身症状を伴い重篤で、かかった人の40~50%が死亡すると言われています。

『鳥インフルエンザウイルス』は、鳥から人へは感染するのは事実ですが、感染した人から他の人へ感染することはありません。『鳥インフルエンザウイルス』が変化して、人から人へ感染するようになった場合を、『新型インフルエンザ』と定義しています。まだ、『新型インフルエンザウイルス』は存在しませんので、このウイルスに抗体を持っている人はいません。そのために、『新型インフルエンザ』は、世界的に大流行して多くの死者が出ると予想されているのです。

まだ存在しないウイルスですので、『新型インフルエンザウイルス』に対するワクチンもありません。最新の技術を使用すると、ワクチンは2,3ヶ月で作ることができると言われています。インフルエンザの流行は2,3ヶ月で収まりますので、どこか外国で『新型インフルエンザ』が発生し、ワクチンが間に合えば、流行に対応できるかもしれませんが、これは楽観的な期待です。

日本で『新型インフルエンザ』が流行すると、死者が64万人とも210万人とも予想されています。現在、日本で年間に亡くなる人の合計は約110万人ですので、その数に驚かされます。しかし、まだ存在しないウイルスによる流行ですので、予想が正しいかどうかは分かりません。しかし、それなりの対応は必要と考えています。まずは、通常のインフルエンザに対してワクチンを接種すること、人込みに行かないこと、咳でウイルスを撒き散らかさない、マスクをするなりして他の人に移さないようにすることなどを、日頃から実行することから始めたらいかがでしょうか。