令和5年11月2日、夜9時から日本テレビ系で放送している「秘密のケンミンSHOW」という番組にちょっとだけ出演しました。

 出演のオファーは突然の電話でした。おなかが「ニヤニヤする」という表現についてインタビューしたいとのことでした。あとで聞いたところによると大学病院消化器内科にも問い合わせがあったようですがいろいろ許可を取ったりする関係で対応が難しく、当院に白羽の矢が立ったとのことでした。

 収録は診療休診日の午後に東京から番組のスタッフがやってきていつもの診察室で行いました。テレビなのでてっきり細かいシナリオがあるのかなと思っていましたが、実際はたくさん様々な質問が用意されており、それに対して私がお話しした内容から切り貼りして使うとのことでした。インタビューの中のどの部分が使われるのかは放送当日までわかりませんでした。

 番組の内容としては罪を犯した男が取調べ中にふいにもらした「腹がニヤニヤする」という方言から出身県を割り出されるという内容で、それについて解説するという役回りでした。

 おなかがニヤニヤするというのは私自身が積極的に使う表現ではありませんが、日常的に診察の場面で耳にするものですし、患者さんが使っているのを聞いておおよそここが悪いのかなというのはわかります。ただそれを「標準語で置き換えると?」とか「別な表現をするとすれば?」とか「どんな病気で出てくる表現ですか?」と言われると、モゴモゴと口ごもってしまうような微妙な表現ではあります。他に言いようのないような言い方を日常的に使っているということは津軽弁の言語表現がより豊かであるという証左でもあります。

 これまでも地元のテレビニュースや、新聞の取材は受けたことがありましたが全国ネットのバラエティー番組ははじめてでした。今回撮影の合間には、テレビ番組制作者から制作過程について直接お話をうかがうことができました。数か月前からアイデア出し、そして現地取材、タレントさんを入れての撮影、編集と1時間の番組を作るために行われている膨大な仕事量に驚きました。私の実際の出演時間なんて本当にごくわずかです。しかしそのごくわずかな瞬間をおさめるためにわざわざ青森県まできて、何時間もかけてコメントをとってくる。人気の長寿番組の裏側には綿密な取材力と労力を惜しまない献身的な姿勢があることがわかりました。