私が好きな歌手の中で、コンサートやディナーショーなどで実際に歌を聴いたことがなく、 CDの中だけの歌手が竹内まりやだ。竹内まりやと言っても、この「ニュースレター」を 読んでくれる人たちの中で、顔を思い浮かべることが出来る人は少ないでしょう。 表には出ないし、アルバムも少ない。ただ、テレビの連続ドラマの主題歌を歌っていることがあるので、 知らないうちにそのメロディーが頭の中に入っているので、「あぁあの歌を歌っている人か」、 と言われれば気付くことが多いのではないでしょうか。今回は、私が気に入っている竹内まりやのアルバムを2つ紹介します。
一つは、18年ぶりのライヴを収録したアルバム「スーヴェニール」です。妻として、 母としての時間を大切にしてきたためなのか、竹内まりやは20年近くも表舞台には立つことはなかった。 そんな竹内まりやがFM放送開局30周年のイベントとしてライヴステージに立ちました。 それを収録したのがこのアルバムです。選曲は「竹内まりやベスト」的な様相を呈し、馴染み深い曲で構成されています。 竹内まりや自身も言っているように、主婦をしながら音楽活動を続けて来れたのも夫の山下達郎が 彼女の才能と情熱を理解して来たからこそなのであろう。バック陣も豪華で、山下達郎と彼のサウンドを 構築するのに欠かすことができない強力な人たちである。「プラスティック・ラヴ」での山下達郎のバックは 歌い過ぎかと思われるほど熱が入っている。
「Sincerely」というアルバムが発売された。これは竹内まりやのオリジナル曲を英語で実力のあるヴォーカリストたちが歌うもので、 竹内まりやが歌うのと一味違っている。私はむしろ、竹内まりやが歌ったものよりこちらの方を気に入っている。 特に、「駅」、「シングル・アゲイン」、「天使のため息」は竹内まりやが歌うよりももっともっとすばらしい。 驚いたことに、「Sincerely」の中の「天使のため息」を聴いて、竹内まりやの元の曲がどれなのか私には分かりませんでした。 それほど雰囲気が違っていました。この「Sincerely」を聴いて、私は作曲家としての竹内まりやのすばらしさが分かりました。 ちなみに、このアルバムはCDショップで、たまたま見つけたものです。
竹内まりやの声は46歳とは思えないほど若々しく、ラブソングや悲しい歌を歌っていても、 何か心は楽しくなってしまうという不思議さがある。竹内まりやの歌は、小椋佳のようにきれいな言葉が並んでいるわけではなく、 ごくありふれた日常の言葉を使っているのが特徴だ。そして、中島みゆきの歌は休日の午前に聴く気にはならないが、 竹内まりやの歌はいつでも聴ける不思議さがある。これからも聴き続けるつもりです。
第14号より