世の中では、声が大きい人の主張が正しいように聞こえることがよくあります。『胃の内視鏡検査や大腸の検査は苦しい』というのも、そのひとつです(苦しくないとは言いませんが・・・・)。
胃の検査をする場合には、私は原則として内視鏡検査を勧めています。バリウムでも胃癌は診断できますが、私は内視鏡検査の方が小さな癌を見つけやすいと考えています。内視鏡自体も直径が6mmと非常に細いものがあり、苦痛が少なくなっています。また、癌を疑った場合には、内視鏡検査であれば胃の一部を検査のために取ってきて、直ちに精密検査をすることができます。私たちの医院では、胃内視鏡検査件数は1年間に800~900です。これに対して、バリウム検査件数は30前後です。
内視鏡検査は苦しいと言われています。確かに、検査中ずっとゲーゲーと吐いて苦しい人もいます。しかし、大部分の人は、それほど苦痛なく終わっています。精密検査以外であれば、3分もかかりません。苦しい体験をした人の話はすぐ広がり、苦痛もなくスムースに終わった人は何も言いませんから、結果的に胃内視鏡検査は苦しいものと相場が決まっています。でも、だまされたと思って内視鏡検査を受けてみてください。きっと、思ったよりも楽に終わるでしょう。
ちなみに、内視鏡検査で苦しかった時は、「若いほど反射が強いので、若い証拠ですよ。」と慰めています。そして、楽に終わった時は、「私の腕がいいからだ。」とは言っていません。
第11号より