胃内視鏡検査を受ける人はすべてヘリコバクター・ピロリ菌を調べることにしました。 これまで沢田内科医院で胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療を受けたことがある人は、ほぼ全員ピロリ菌の検査を受けています。そして除菌治療を受けています。 今年の2月から、ピロリ菌感染胃炎は保険適用となり治療できるようになりました。 何回も書きますが、この本当の目的は現在の胃炎を治療することではなく、将来の胃癌を予防することです。
ピロリ菌の研究に携わっている専門家の中には、ピロリ菌に感染しているかどうかを胃内視鏡検査で判断できるという人もいます。 しかし、実際にやってみると、胃内視鏡検査でピロリ菌の感染を診断するのは非常に難しいです。 胃の粘膜が萎縮している典型的な場合は比較的簡単ですが、 もっと重要な、ピロリ菌には感染しているが胃粘膜が萎縮していない状態を診断するのが難しいのです。
胃癌の予防という面から考えると、この胃粘膜が萎縮していない段階で診断しなければなりません。 できるだけ早い段階でピロリ菌を除菌することが胃癌予防には効果的だと考えられるからです。 でも、私にはできそうもありません。そこで、私の内視鏡の診断能力の不十分さを補うために、尿中のピロリ菌抗体を検査することにしました。 採血をしませんから痛みはありません。尿を取ってもらうだけです。私の事情によるものですから、皆さんに負担をかけるわけにはいきません。 このための検査料はいただきません。タダで行います。
3年計画で、通院している人にはピロリ菌感染者がいない状態にしようと思っています。 つまり、沢田内科医院に通院している人には、将来、胃癌になる可能性をできるだけ小さくしてもらいたいのです。 6月中にすでに約30人の人がピロリ菌に感染していることが分かり、治療を開始しました。 ただ、年齢など事情によっては、ピロリ菌がいてもそのままにすることがありますので、ピロリ菌がいない状態にするというのは言い過ぎですね。
第76号より