このニュースレターが発行される頃は、衆議院選挙は終わっていますが、ちょっと疑問に思っていることをひとつ。 現在の衆議院選挙は、小選挙区比例代表並立制といわれ、小選挙区に立候補する一方で、 比例代表にも名前を連ねることができる制度です。 これまでは、学識経験者など、比例代表単独で立候補した人がたくさんいましたが、 今回の衆議院選挙の特徴は、ほとんどの候補者が小選挙区と比例代表に重複立候補していることです。
立候補する側から見ると、入学試験でいえば滑り止めがあるようなもので、小選挙区で落選しても、 当選者の得票数とそれほど違わない票を獲得していると、比例代表で「復活当選」しますので、全く便利な制度です。 しかし、選挙する住民側からみると、ちょっと違和感があります。 自分が住んでいる小選挙区で落選したはずの候補者が、衆議院議員になってしまいます。 この結果、極端な場合には、小選挙区で立候補した3人全員が衆議院議員となる現象が起こります。 そこの選挙区の人は何のために投票したのだろうという状況になります。
小選挙区制では、有能な人が複数立候補しても当選するのは一人だけです。 この人材を比例区で復活当選させて、国政の場で活躍してもらうという利点があります。 しかし、今回は、刺客と称する人たちが、これまでの常識とは異なる状況で立候補しています。 この人たちの多くは、比例区にも上位で登載されていますので、半ば当選が保証されているようなものです。 小選挙区の救済のための制度が比例代表制だとすれば、何のための制度なのか疑問に思います。
高校入試や大学入試もコロコロと変わりましたが、選挙の方法も変わりました。 特に、衆議院議員選挙は、小さな地域の代表となったため、地域によっては、市長よりもこまめに選挙区を回り、 選挙民の機嫌をとり続けなければ、次の選挙では落選してしまいます。 まじめに国の将来などを考えていたら、落選してしまうようです。 何年か前の選挙では、スーパーに出向いた候補者が、「大臣!!大根1本の値段を知ってますか!」と 騒いでいた人たちがたくさん当選したことがありますが、国会議員はこんなことに気を使わずに、 もっと大きなところから判断して欲しいものです。人には役割というものがありますから。
比例代表制が導入された時は、何と頭のいい人たちが考えた制度だろうと思ったものですが、 このように利用するのを見ると、これまた、利口な人たちがいるものだと感心してしまいました。 比例で復活当選した議員は、議員の中では一段低く見られているとのことですし、 この重複立候補という滑り止め制度は廃止すべきだと思います。
第29号より