日本では、賞味期限の改ざん、産地偽装など食の安全が大きく揺らいでいますが、中国では、残留農薬問題、ギョウザの中毒事件に引き続き、有害物質のメラミンが粉ミルクに混入していたことが発覚しました。中国発の食の安全を脅かす事例は、留まるところを知りません。アメリカでは、メラミンが混入した中国製のペットフードで、多数の犬や猫が腎不全で死亡したニュースがありました。中国国内でも、メラミンが混入した粉ミルクで育てられた乳幼児が腎不全や腎結石を発症する事件がありました。さらに、鶏の飼料にもメラミンが混入していたという記事もありました。
私はメラミンという物質を知りませんでしたので、このメラミンがなぜ食料に混ぜられるのか調べてみました。メラミンは窒素化合物で、樹脂を生産するのに使用されるようです。食物や動物の飼料に含まれている蛋白量は、蛋白そのものを測って決めているのではなく、窒素を測って蛋白量を決めているようです。ですから、飼料の植物性蛋白や粉ミルクの蛋白が少なくても、メラミンを混ぜれば、蛋白質が多く含まれ栄養価があると判断されるようです。要するに、食料として含まれる蛋白量が多く見えるように偽装するために混ぜるのです。窒素化合物であるメラミンに含まれる尿素が腎臓に沈着し、腎不全や腎結石を発症することになります。
日本の食糧自給率は40%で、主要先進国の中では最低です。「私は中国産の食べ物は買いません」などと言ってる場合ではないと思います。現在はアメリカに大きく依存していますが、中国を無視して食糧を確保することはできないと思います。直接目に見える食肉などは中国産を食べないことはできるでしょう。しかし、中国産の農畜産物が、日本で飼われている食肉用動物の飼料として使われ、間接的に私たちの食糧となっているかも知れません。なっているでしょう。
朝日新聞の記事に、ハンバーグ定食がどれだけ輸入に頼っているかが出ていました。豚肉や牛肉は50-60%、ジャガイモは24%、パン(小麦)は87%、ドレッシング(大豆)は95%、野菜は21%となっていました。家畜の餌は75%が輸入です。日本人が大好きなラーメンを考えてみても、アメリカから輸入した小麦で作った麺、アメリカの飼料で育った豚や鶏のスープ、外国産の豚肉のチャーシュー、中国産のメンマなど、外国からの輸入で成り立っていることが分かります。
青森県のリンゴは中国に輸出されています。日本の米も中国に輸出されています。日本の工業製品の輸出先としても、大きなマーケットの中国を無視しては成り立たないでしょう。食糧自給率が低い日本は、中国に対して食の安全を求め、あるいは協力して、安全な食糧を輸入する道を選ぶしかないと思っています。
第48号より