5月17日、学校医を務める西目屋小学校の子どもたちの健診でした。西目屋村は、医療費を無料にしたり、若い人たちに住宅を用意したり、ある期間住み続けると土地が手に入るなど、子どもたちを増やす政策を次々と展開しています。先日の新聞によると、この政策により青森県でたった一つ、高齢者率が低下していました。
西目屋小学校の児童数は約60人です。お父さんやお母さんの名前を言われてもどこの子か全く分かりませんが、おじいちゃんの名前を聞くと分かります。ただ、西目屋村へ移り住んだ人たちの子どもが約半分です。私には、どの子がそうなのか名字を見るだけで大体分かります。
今回は、国立病院から地域医療研修に来ていた石戸谷美奈先生と一緒に出かけました。地域医療研修の一環として子どもたちの健康診断に行ったというのが表向きの目的で、実は本当の目的は別にありました。
西目屋小学校の石戸谷雅子校長先生は、石戸谷美奈先生のお母さんなのです。そこで、子どものための親の職場訪問にしようと計画しました。でも、ただ訪問したのでは面白くも何ともありません。そこで、サプライズ訪問としました。
石戸谷先生が弘大医学部に入学する前から、私はお父さんとお母さんとは知り合いでした。お父さんは、元弘前南高校の校長先生でしたし、お母さんも、自得小学校、百沢小学校に勤務していた頃から知っていました。
驚くことに、私は石戸谷先生のおじいちゃん、つまり、お父さんのお父さんも知っているんです。おじいちゃんは、仙台の東北大学内科出身の検査部の医師でした。私が大学を卒業して間もなく、40年近く前に血液学会で何回かお会いしたことがあるのです。そして、そのおじいちゃんが亡くなる前に弘前の自宅で療養生活を送っていた時に、私は往診に行ったこともあるのです。
石戸谷美奈先生は、健康診断の半分を受け持ちました。石戸谷校長先生がどんな顔をしてそれを見ていたのかは直接観察できませんでした。でも、ちゃんと聴診器を使って健診をやっているのを見て、きっと目を細めて眺めていたことでしょう。
「親の職場訪問」でしたけど、学校を見るだけで仕事ぶりを見ることができませんでした。結局、親が子どもが医師として活動しているのを見学する場面と化してしまいました。最後に、校長室の椅子に座ってもらい記念写真を1枚取りました。
第112号より