医院でのこぼれ話
私の故郷、西目屋村の東山治夫さん(仮名、87歳)は、介護保険の意見書作成のために受診しました。 腰と膝の痛みが少しありましたが、比較的軽い方でした。 さて、短い会話では分からないことがありますので、認知症がないか質問をしてみました。
- 私
- 「東山さん、頭の働きを見てみましょうか。」
- 東山さん
- 「最近、ちょっとおかしくなって来たかも・・・・。」
- 私
- 「記憶力を試してみますよ。今日は何年の何月何日でしたか?」
- 東山さん
- 「何年?? ・・・・。」
- 私
- 「何月何日ですか?」
- 東山さん
- 「11月27日」
とはっきり答えました。
平成何年かははっきり答えられませんでしたので、もしかして、認知症が始まってるかなと次の質問をしました。 - 私
- 「犬、桜、自動車。この三つを覚えて下さい。後でもう一度聞きますから、口に出して言ってみて下さい。」
- 東山さん
- 「犬、桜、自動車!」
とすらすらと出てきました。
記憶障害はないかと思いましたが、質問を続けました。 - 私
- 「算数の問題です。100ひく7(ひゃくひくなな)はなんぼだ?」
- 東山さん
- 「1(いち)」
- 私
- 「えっ? 100ひく7だよ」
- 東山さん
- 「1(いち)!」
とはっきり答えました。
ちょっとおかしいなと思って、次の計算をさせました。 - 私
- 「90ひく7(きゅうじゅうひくなな)は?」
- 東山さん
- 「83(はぢじゅうさん)」
この答えを聞いて私はびっくり。 - 私
- 「93ひく7(きゅうじゅうさんひくなな)は?」
と、さっきの続きのつもりで聞いてみました。 - 東山さん
- 「86(はぢじゅうろぐ)」
とちょっと間を置いて答えました。
これには、またまたびっくり。もう一度最初に戻って、 - 私
- 「100ひく7(ひゃくひくなな)は?」
- 東山さん
- 「1(いち)!」
私はここではっとしました。
もしかして、これかな!!と思って、 - 私
- 「100ひく7(ふぃゃぐひぐなな)は?」
- 東山さん
- 「93(きゅうじゅうさん)」
これではっきりしました。インフルエンザ対策としてマスクをしていた私の発音では、ちょっと耳が遠くなっている東山さんには、 「ひゃく」が「はち」に聞こえていたらしいのです。「8ひく7」は「1」のはずです。 そして、「ひゃく」を津軽弁の「ふぃゃぐ」と英語のFの発音にすると、「100」が正しく通じたのでした。
5のことを英語ではファイブと言います。英語の先生は、「下唇をちょっとかんで、ファイブと発音して下さい」と教えてくれますが、 津軽弁の「百円(フィャグエン)」の発音を教えれば、もっとすんなりと発音できるのにと私はいつも思っています。 「フィャグエン、フィャグエンのファイブ」と教えれば英語らしく聞こえること間違いありません。
ニュースレター
第55号より
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