5月9日、7歳になる娘が朝から痰がらみの咳をしていました。のどの痛みもあるようで声もかすれ気味でした。前々日の夜から元気ながら微熱があったのでこれは怪しいと思い、早朝にPCR検査を行いました。結果は陽性でした。家族が陽性になった場合、医療従事者は家庭内で陽性者を隔離状態として連日コロナ検査陰性を確認できれば診療を行っていいことになっています。以前1月に妻が陽性になったときと同様に、家の中でもマスクをしながらの生活がはじまりました。
娘は数日風邪症状があったくらいで回復し、自宅療養解除まで体を持て余していました。私は娘の自宅療養解除前日、16日の朝の自分のPCR検査をみて目を疑いました。「陽性」。確かに数日前から夜になると頭痛がひどいなとは思っていましたが。一応、別の検査機の方でも確認しましたが「陰性」。もう一度鼻に綿棒を入れて再検査をしてみましたが、その結果も「陰性」。家庭内に陽性者がいて連日PCRをしている中での結果ですので、陽性として扱うことにしました。16日午後の診療から美彦にすべてをまかせて自宅療養をはじめました。外来制限や検査の延期などはありましたが、2人体制のおかげで完全休診をせずにすんだのは不幸中の幸いでした。
全く無症状で元気であれば誰もいないうちに院長室まで出勤して電話診療や書類仕事くらいはしようと思っていましたが、その日の夜から数日はしっかり症状がありました。不安を煽らないようにおとなしく自宅療養することにしました。夕方になると37度台の微熱、そして薬をのまなくては動けないかもと思うくらいの頭痛です。のどの痛みもありました。しかし娘同様、症状は数日で落ち着きました。正直、3回目のワクチン副反応の方が数段きつかったなと思うくらいでした。この症状の軽さがワクチン効果だったのかもしれません。
今回の自宅療養ではもうひとつ大変なことがありました。それは妻のつわりとの共存です。妊娠12週くらいになりますが、とにかく吐き気が強いようで食べられるものの種類も食べられる量もかなり限られます。体重はふだんより5kgも減少してしまい、とにかく横になっていないと調子が悪そうでした。隔離と言いながらも、マスクをしてリビングに出てきて窓を全開にして、茶碗洗い、加湿器の水入れ、掃除、洗濯物を干したり、畳んだりと協力しあいながら過ごす必要がありました。グズりだすと手に負えなくなるイヤイヤ期の2歳児の機嫌をどうやって取り戻すか、そして日に何度も繰り広げられる兄弟げんかの仲裁と、私が普段家にいない間どれだけ大変なことが起きているのかよくわかりました。幸いだったのは自宅療養期間中、天気がよかったことです。5月の暑くも寒くもないちょうどいい陽気と窓から入ってくるさわやかな風は、塞ぎがちになる気持ちを明るくしてくれました。
5月23日からは無事通常診療に戻ることができました。ご心配をおかけしました。
第129号より