医院ではいろいろな処置を行う上で、感染対策は非常に重要なことです。注射をする時はアルコール綿で消毒してから針を刺します。 もっと体の奥深くにチューブを通す時などは、もっと厳密に消毒をしてから行います。 使う道具でも金属など高熱に耐えるものは、オートクレーブという高熱滅菌装置を使って滅菌します。 これで滅菌すると細菌やウイルスは全くなくなります。
注射筒や針は、昔は熱湯で消毒して使ったこともあるようです。私も記憶にないわけではありません。安いものは現在ではほとんど使い捨ての物を使いますので滅菌する必要がなくなりました。
ゴム製品など熱で滅菌することができないものは、オートクレーブで滅菌することができません。また、自分たちが工夫して使っているものもあり、滅菌が必要なことがあります。 これらの物を滅菌するには、ガス滅菌装置が必要です。沢田内科医院にはこの装置がありませんでしたので、市内の病院にお願いして滅菌していました。
ガス滅菌装置自体は、買えないほど高価なものではありません。しかし、このエチレンオキサイドガス滅菌作業を行う施設では、「特定化学物質等作業主任者」という資格を持つ職員を配置していることが必要です。 看護師の澤田美紀子さんが、2日間にわたる講習を受け、めでたく試験に合格して「特定化学物質等作業主任者」の資格を取得しました。 この結果、沢田内科医院にはガス滅菌装置を設置する条件が整いましたので、早速、この装置を購入しました。
現在、やけど、外傷、褥瘡などの処置にはただガーゼを乗せて包帯をするのではなく、特殊な被覆材料、ガーゼ、サランラップ類などを使います。 これらの方法で処置をすると、これまでよりもきれいに傷を治すことができるのです。処置をする時の痛みも格段に少なくなりました。
ただ、細かい材料を使いますので、消毒が不十分な可能性がありました。これらの材料を滅菌するためにはエチレンオキサイドガス滅菌装置が必要です。 この滅菌を行うために、今回は澤田美紀子さんに頑張ってもらったわけです。これで、皆さんにさらに良質な医療サービスを提供することができるようになりました。
余談です。体は大きいがいつも引っ込み思案の美紀子さん。今回も、「私にできるかしら・・・・」、「もしも試験に落ちたら・・・・」などと不安なことを口にしていました。 私が、「この試験はみんな合格するんだ」、「講師が出るところを教えてくれるようだ」と言っても、「私が不合格になる1人目かも知れない・・・・」、「ほんとかしら・・・・」などといつもの反応でした。 試験が終わって担当者から、「不合格の場合は、雇用主に電話連絡します」などという脅しを本気に受け取って、合格通知が来るまで不安な毎日を過ごしていたようです。
第74号より