昨年1年間で日本医師会の医療安全推進者養成講座で医療安全について勉強しました。ほぼ1ヶ月に1講座、約100ページの内容を読んで簡単なテストを受けて合格点を取り、その間に1回だけ東京へ出かけて講習を受けると修了証がもらえます。修了証がもらえればどうだという訳ではありませんが、ちょっと興味があって受けてみました。

3年ほど前から弘大医学部4年生に対して「診療所における医療安全」という講義をしています。1年間を通しての医療安全に関するシリーズの1つです。医療事故対策という言葉は知ってると思います。医療事故対策は、今では医療事故を防止するだけでなく、いかに安全で良質な医療を提供するかというレベルになっています。つまり、医療安全に取り組むということは、どのようにして安全で良質な医療を提供するのかということになります。

この講義では、結局は、医師や看護師の医療技術よりも、コミュニケーションが最も重要だという話になってしまいます。今回の医療安全推進者養成講座では、他業種で使われている考え方などを新しく知ることができたこともありますが、コーチングが最も役に立ちました。これも、いかにして良好なコミュニケーションを取れるようにするかということです。

急性期の重篤な病気を相手にする場合は当てはまりませんが、大部分の医療現場では医療技術よりもコミュニケーションが重要です。極端な意見だと思うかも知れませんが、病気の大部分は医学が治しているのではなく、体自身が治しています。良好なコミュニケーションが取れれば治りが早くなります。

コーチングでは、相手に指示をしたり提案をしたりはしません。答えは相手の頭の中にあると考えます。アドバイスをすることはありますが、答えは相手の中にあるのですから、画一的な結論はないということになります。詳しくは書きませんが、コーチングを意識して診療すると、良好なコミュニケーションが取れ、安全で良質な医療を提供できると考えています。もう少し勉強してみます。