看護専門学校の謝恩会の後、鍛冶町で二次会がありました。学生に交じって参加したのですが、その場で確信したことがありました。これを確信できたことだけでも二次会に参加してよかったと思いました。要するに、勉強は興味があると意欲が湧き、知識や技術は自然に頭の中に入り身につくということです。
そこでは、よくテレビで見ることがある「早押しクイズ」というのをやっていました。最初は「イントロクイズ」でした。曲のイントロ部分を聴いて、題名を当てるというクイズです。5人の人が前に出てゲームが始まりました。私も手を引っ張られて前に出され、その中に入れられてしまいました。さて、曲のイントロが流れ、分かればスイッチを押すのですが、とても押すことができません。学生は、「♪~」と曲のイントロ部分を2秒も聴けば、ガチャン!とスイッチを押すのです。それも、ほとんどが正解。さらに、答えた学生だけでなく、その場にいた学生の多くが知っているのです。私はと言えば、歌うことができる曲でさえ、題名が分からないのです。結局、山本譲二の「みちのくひとり旅」と「ゲゲゲの鬼太郎」をハンデイ付きで答えられただけでした。完敗です。
考えてみると、私は車の中で、小椋佳、竹内まりあ、井上陽水の曲をよく聴くのですが、歌詞は知っていても、題名を覚えることはしていませんでした。もちろん「イントロクイズ」は意識していませんし、必要がなかったからです。これに対して、学生たちは、曲はもちろん歌詞を知っていますし、題名も知っているのです。特に曲は最初の2秒で分かるのですからすごいことです。
看護専門学校3年生に対して、1月から2月にかけて、1回90分の国家試験に向けた講義を12回行いました。この時は、国家試験をパスするための知識や考え方を植え付けるのですが、普段の講義とは違い、居眠りもせずに一生懸命でした。これも、3年間の総決算である目前に迫った国家試験という明確な目標があるからです。ただ、ここにもう少し興味を持たせる工夫があれば、もっと効果的に覚えられただろうなと、「イントロクイズ」をやりながら反省していました。国家試験に向けて、覚えてもらいたいことが山ほどありましたので、どうしても一方的な講義になってしまいました。
小中学校の学習指導要領には、「主体的・対話的で深い学び」などと書かれていますが、興味を持つかどうかが最も重要なようです。興味があれば学ぼうとする意欲が湧いてきますので、自然に覚えてしまうということです。普段の講義も、単に知識や技術を授けるのではなく、いかに興味を持たせ、意欲を持たせるかが大事だということです。今回の鍛冶町での二次会でこれを確信したのです。
知識を覚えるためには、興味を持って意欲的に勉強すればいいことですが、看護師として働くためには、身につけた知識を基礎にして、その場面に適した行動をとることが要求されます。イントロクイズから判断すると、興味があることは学生たちは覚えることができるのですから、ぜひ仕事の中で興味があることを見つけて欲しいものです。そして、よく考えて行動する立派な看護師になることを期待しています。
「イントロクイズ」は全く出番がありませんでしたが、再び引っ張り出された「雑学クイズ」では、さすがに優勝しました。5人で記念撮影をしてそのバッジを貰ってきました。
第98号より