平成28年の1年間に弘前市の大腸がん検診を1,302人に行いました。大腸がん検診は、便の中に血液が混じっていないかを検査するものです。病気を疑った時は、検診ではなく沢田内科医院の検査として便潜血検査を行っています。今回の数字は、医院の検査ではなく、弘前市医師会健診センターで検査を行う大腸がん検診の数字です。
1,302人のうち、107人が便に血液が入っていると判定されました。通常の大腸がん検診では、陽性率が6~7%ですが、沢田内科医院を経由して行った大腸がん検診でチェックされたのは8.2%でした。これは、受診者の平均年齢が高いためです。
107人のうち、大腸内視鏡検査で精密検査をしたのは99人、93%でした。異常なかった人が40人、検査でその場で進行がんと診断した人が6人でした。ポリープが53人で、このうち切除したポリープが病理検査で大腸癌と診断された人が5人でした。つまり、1,302人が大腸がん検診を受け、精密検査した99人のうち11人が大腸癌だったのです。この人たちは症状が全くない人たちなのです。
進行癌6人のうち、3人が今回初めて大腸がん検診を受けた人でした。きっと、この人たちも検診を受けていれば、もっと早い段階で見つかったはずです。逆に78歳の男性は、平成23年から毎年受けていて6回目で便潜血検査が陽性となり進行癌が見つかりました。腫瘍はそれほど大きくはなく、幸いにも手術で治療できました。これらの数字を見ても、大腸がん検診を毎年続けて受けることが重要であることが分かります。
早い段階で見つかると、広い範囲の腫瘍でも内視鏡で治療することができます。写真は、側方発育型腫瘍といわれる大腸癌です。それほど盛り上がるわけではありませんが周辺の粘膜とは違いモコモコした低いポリープが広い範囲でたくさん集まったように見えます。この患者さんは、開腹手術ではなく、内視鏡で切除することができました。
平成28年に弘前市の大腸がん検診を受けた人は約16,000人でした。そのうち1,302人が沢田内科医院からの検査数でした。通院している人が大腸癌で亡くなるのを見たくないので、私は口をすっぱくして大腸がん検診を勧めています。弘前市では毎年90~100人が大腸癌で亡くなっています。毎年、大腸がん検診を受けていれば、このうちのかなりの人は亡くならずにすんだはずです。
第101号より