小堀未希さんが弘前市医師会看護専門学校を卒業します。2月20日に看護師国家試験を受験しますが、 4月からは看護学士を目指して勉強を続けることになりました。 例によって皆さんに公表することで、本人にちょっと圧力をかけておこうと思います。
弘前市医師会看護専門学校は、平成22年4月から専修学校になりました。専修学校になっても目に見えるメリットはあまりないのですが、 施設基準が厳しくなりますので学んでいることが質的に保証されること、奨学金を得る選択枝が少し広がること、などに加えて、 卒業後に大学へ編入することが可能になりました。つまり、看護専門学校での単位が大学の単位と同等と認められるのです。
看護専門学校3年生の生活はほとんどが弘前市内の病院実習です。私は小堀さんの今後のために、病院の実習を頑張るのもいいけれど、 他の病院の看護師がどのように働いているかを見てくるように言いました。沢田内科医院で引き続き働くのもいいし、 大きな病院で看護師として働いて見ようという気になれば、それも一つの選択枝です。病院実習が終わる頃に結論を出せればいいと思っていました。 その結果、小堀さんは卒業して看護師となった後も沢田内科医院で引き続き働くことを選びました。
今後は看護師として仕事に専念することも生き方の一つですし、仕事をしながら何かに興味を持って勉強を続けることもできます。 小堀さんは、勉強を続けたいとのことでしたので、一つの提案をしました。とは言っても、沢田内科医院でできることは限られています。 しかし、何かはできます。
そこで私は、弘前市医師会看護専門学校が専修学校になったメリットを最大限に生かそうと思いました。それは、放送大学で大学の単位を取得し、 看護専門学校での単位と合わせて、「大学評価・学位授与機構」が認定する看護学士という学位を取得することです。 大学を卒業するためには、最低124単位が必要です。看護専門学校での単位は62単位です。これに62単位を積み重ねると学位を取得することができます。 何か努力をして成し遂げた結果として形が残るものが理想ですので、看護学士という学位は最高ではないかと思います。
何ごとにも、模範となるような手本、ロールモデルというのがあれば具体的なイメージを描くことができます。 私は、青森保健大学で教官をしている村上眞須美さんに連絡をしました。 村上さんは、私が青森県立中央病院に勤務していた平成元年に弘大医療短大を卒業して新人看護師として赴任してきた人です。 その後、放送大学で単位を取得して、大学評価・学位授与機構から看護学の学位を授与されました。そして、青森県立中央病院での19年の臨床経験の後、 3年前に大学教官の道へ進みました。仕事をするのと並行して大学院修士課程に籍を置き、現在、修士論文を作成中という活動的な女性です。
早速、正月休みで帰省したのを利用して小堀さんに会ってもらいました。 あまり緊張するといけないので、保護者として井上婦長にも一緒に来てもらいました。村上さんからは、 学位を取得するに実際にどのようなことをしたか、科目はどうしたらいいか、どこが辛かったか、などアドバイスをたくさんいただきました。 小堀さんは、看護学の学位を取得し、看護学部で教官として働いている村上さんに会えたことで、 これからの目標がはっきりしたのではないかと思います。
ちょっと解説しますが、放送大学で単位を取得して卒業すると「教養学士」の学位が授与されます。 しかし、看護学に関する規定の単位を取得した上で、 「大学評価・学位授与機構」に30枚から50枚程度の「学習成果」という論文を提出して審査試験に合格すると「看護学士」が授与されるのです。 どうせやるのなら、「教養学士」ではなく、自分の専門とする「看護学士」の方がカッコいいと思いませんか。
幸いにも弘前大学構内には放送大学青森学習センターがあります。村上さんは、ビデオ教材を借りるために青森から通ったようですが、 小堀さんはすぐに行くことができます。フルタイムの学生とは違い、仕事をしながら、夜勤をしながらの勉強です。 それに、村上さんも強調していましたが、孤独な勉強です。順調に行くと3年後には看護学士になります。ご期待下さい。
第61号より