平成22年のデータを見ると、弘前市では年間約2,000人が亡くなっています。その内、がんで亡くなった人が630人で、肺癌120人、胃癌110人、大腸癌100人でした。 肺癌は、検診を受けても手術をして助かることが必ずしも多くはなく、肺がん検診自体に疑問を持っている人もいます。 肺癌に関して一番大事なことは、明らかに原因として分かっている禁煙をすることです。
それに比べ、胃癌と大腸癌は早期に見つけることで早過ぎる死を迎えることがないようにできます。 これまでは、胃癌も大腸癌も手術をして助けることができる早期癌の段階で診断することを目標にしてきました。もちろん、今もそうですが。
ただ、現在は内視鏡手術の技術が進歩し、開腹手術ではなく内視鏡手術で完治させることができます。そのためには、胃や大腸の内視鏡で診断する必要があります。 バリウムではきちんと診断できない小さな胃癌や大腸癌を内視鏡を使うと診断できる場合があります。
まだ実数を調べていないので数値を書くことはできませんが、昨年1年間でも内視鏡手術で治療した人はたくさんいました。 ですから、今は早期癌でがんを見つけることではなく、開腹しないで内視鏡手術で完治できるがんを見つけることを目標にしています。
弘前市の胃がん検診を希望する40数人にはバリウム検査を行いましたが、昨年1年間の胃内視鏡検査は1,669件でした。 ほとんどが鼻からの内視鏡検査で、口からは30-40件程度でした。胃内視鏡検査を行うもう一つのメリットは食道も検査をすることができることです。 通常のバリウムの検査では早期の食道癌は診断できません。
大腸内視鏡検査は250件でした。全ての検査で盲腸まで観察することができましたし、痛みが強くて中止した人はいませんでした。 現在の内視鏡機種になってから特に検査が容易になり、ここ3,4年は途中で検査を中止したことはありません。
第79号より