10月7日午後、弘前市医師会看護専門学校で「看護の誓い式」が行われました。私にとっては、学校長として初めての式でした。「看護の誓い式」は、以前は「戴帽式」と呼ばれていました。看護を志す学生が看護師のシンボルであったナースキャップを初めてかぶる儀式です。しかし、ナースキャップは、ほとんどの病院で姿を消し、「戴帽式」の呼び名は「看護の誓い式」、「宣誓式」などと改められています。
「看護の誓い式」は、これから病院での臨地実習が始まる准看護学科の学生が、看護の意味を考え、看護の道を選んだことの決意とその責任の重大さを再認識し、これから歩む看護師としての夢や希望を心に刻む厳粛な儀式です。
式の中で、全員で声を合わせてナイチンゲール誓詞を読み上げます。ナイチンゲールの看護に対する精神を基とし、医学に携わる看護師としての必要な考え方、心構えを示したものです。看護師として忠実に仕事に尽くすこと、患者に害を及ぼすようなことはしないこと、看護師として常に研鑽すること、秘密を漏らさないこと、患者のために身をささげることなどを内容とし、ナイチンゲールの偉業をたたえて作成されたものです。
今回は、准看護学科1年生79名がナイチンゲールのキャンドルから灯火を受けとり、力強い宣誓をしました。キャンドルの灯火は、クリミア戦争の野戦病院で傷ついた兵士を見回ったというナイチンゲールのランプの灯火であり、患者を思う看護の精神を象徴しています。看護の先輩である教務の先生方から自分のキャンドルに灯火を受け取るということは、看護の精神を受け継いでいくという意味と、受け継いだ精神を絶やすことなく引き継いでいくという意味があります。
それと同時に、自分には本当に看護の道を志す強い意思があるのか、その資質が自分の中にあるのか、医療現場に出る前に改めて自分を見つめ直すところに、看護の誓い式の存在意義があります。
いつもは騒がしい79人の学生が暗くした式場で、物音も立てずキャンドルの灯火の下でナイチンゲール誓詞を心に刻む姿は感動的です。看護師としての新たな決意をしたことと思います。
第102号より