弘前市の教育委員になって3年目になりました。就任時の約束で、通常の会議はほとんど医院が休診の水曜日と金曜日の午後に設定してもらっています。しかし、岩木庁舎での会議ではなく、直接小中学校を訪問する学校訪問は午前からですので、医院を留守にする必要があります。
幸いにも、出身医局である弘大消化器血液内科が支援してくれますので、留守にする時は代わりに診察をお願いしています。先輩の木村あさの先生にも手伝ってもらっています。
弘前市には小学校が34校、中学校が16校あります。この他に、弘大教育学部付属小中学校と聖愛中学校、県立の特別支援学校などがありますが、弘前市教育委員会が関与するのは市立小中学校50校です。関連する施設として、教育センターとことばの教室があります。小中学校とこれらの施設を毎年見て回るわけですが、約3分の1が7月に行われ、10月に残りの学校訪問が予定されています。
学校訪問というと、現場の先生方はお客様を迎えるためによそ行きの姿を見せる面があるとは思いますが、実際に学校現場を見て回り、校長先生たちの話を聞いてみて初めて理解できることが少なくありません。
教育委員会では、渡された資料を見ながら幹部職員の説明を受け、いろいろなことを判断することになります。私は、教育に関連しない分野から選ばれていますので、学校現場を知らないという前提で、これまでの経験と知識を基に意見を述べています。しかし、学校現場を知らない私は、的確に判断しているのか疑問に思うことが少なくありません。そこで、学校訪問で現場を見て歩くことで、委員会での発言が机上の空論にならないようにしようと思っています。
しかし、学校訪問に出掛けてみると、教育以外からの委員とは言いながら、弘前市医師会看護専門学校の学校長ですし、これまで弘高と南高校の学校評議員を通算6年間務め、医学部や新人医師の教育にもあたっていますので、どうしてもこれらと関連付けて見てしまいます。小中学校でどのように教育された学生が看護専門学校へ進学して来るのかを見ることが出来ますので、教育委員会の仕事は私自身のためにもなっています。
教育委員会では、形式的な議題も多いのですが、非公開の協議会という会議は、委員会で正式に議題になっていないこと、不登校や発達障害、先生方の状況など表面化しない問題について意見を交換し合う重要な会議です。これも、学校訪問で現場を知ることで理解できたことがたくさんありました。
学校訪問で他の先生に診察をお願いする時は、超音波と内視鏡検査は止め、外来診療も制限する結果となりますので、通院する患者さんには不便をお掛けすることになります。ご協力をお願いいたします。
第106号より