医院でのこぼれ話



お酒が好きな肝硬変の男の患者さんからの質問でした。最後に入院した時の話でした。奥さんが居ない時の会話です。

患者さん
「先生、実は私、死ぬ前にやっておきたいことが二つあるんです。いつやったらいいか教えてもらいたい。」
「どんなこと?」
患者さん
「一つは、肝臓が悪くて好きな酒をやめているが、どうしても飲みたいウイスキーを大切にしまってあるんです。死ぬ前にそれを飲んでみたい。」
「もう一つは?」
患者さん
「今まで、ご飯しか食べたことがない。死ぬ前に、パンも食べてみたい。」

私は、その後、肝不全が進行した患者さんに言いました。「ウイスキーはそろそろ飲んだ方がいい。パンはまだ食べなくていい」と。病院に持ってきてウイスキーを飲んでもいいと許可したのですが、結局、飲みませんでした。パンの方も、結局、食べずに亡くなりました。亡くなった後、このことは奥さんに話しました。

<注> やぼな注ですが、誤解を避けるために、あえて・・・・。ご飯とは、奥さんのことです。