見てもらうために1人で撮りました
国立弘前病院の2年目研修医、石戸谷美奈先生が5月7日から地域医療研修を始めました。今年は3人の研修医が沢田内科医院で研修をすることになっています。この時期は、特定健診やがん検診が本格的に始まる前ですので、十分な時間を使って指導できるのではないかと思っています。
地域医療で行う内容は限られています。しかし、これまでの多くの研修医に何が不足しているかがある程度分かっていますので、それに従って指導することにしています。石戸谷先生の研修では、
1)きちんと話を聞くこと
2)きちんと身体所見が取れること
3)腹部の超音波検査を行うこと
この3つに集中することにしました。
大きな病院では、入院患者さんを中心に研修が行われますので、外来患者さんを診察する機会が限られています。特に専門分化されている科では、どこからかの紹介患者がほとんどですので、ほぼ診断がついています。専門医を目指す若い医師には最適でも、医学部を卒業したての新人医師の教育には適当ではありません。
沢田内科医院では、病歴をしっかりと聞き、何を目的に受診したのかを聞き出します。地域医療では、もちろん病気をしっかり診断して最適な治療に結びつけることは当然ですが、患者さんが受診した目的をしっかり聞き出して、満足できる医療を提供することが大事です。
風邪を引いて受診した場合でも、求める医療内容はそれぞれ違います。自分は大したことがないと思っていても、奥さんがうるさいので受診した人、孫に移せばダメだからと受診した人、来週孫が来るので、その前に風邪を治しておきたい人、会議があるのでその時に咳がでないようにして欲しい人、目的は様々です。病気そのものを治療することはもちろん大事ですが、患者さんが求める内容に応えることも大事なことです。
大きな病院ではすぐにCTやMRIの検査ができますが、地域の診療所ではすぐにはできません。小さな診療所では、実際に診察して医師が自分の体で患者さんの状況を把握することが非常に大事なことです。
患者さんの負担が少なくて情報量が多い超音波検査も大事です。石戸谷先生は超音波検査を経験することも希望しましたので、できるだけ時間を割きたいと思っています。
第111号より