弘大附属病院初期研修医、医師になって2年目の笹田貴史先生が地域医療研修を行いました。医師免許を取得した後、2年間の初期研修のプログラムの中に地域医療研修というのがあります。大きな病院だけでなく、診療所や小さい病院での研修が義務付けられているのです。
1年目は黒石病院で研修を受けました。2年目は弘大附属病院での研修です。これまで一通りの研修を受けていますので、診療所の外来でそれを再確認することを目的にしました。そして、腹部超音波検査を経験することもその一環としました。
大きな病院であれば、すぐにCTで検査したり、細かいところまでいろいろな検査ができます。しかし、小さい診療所ではそれができません。むしろ、検査をしないで、これまでの話を聞いて身体所見を把握し、今どういう状態であるかを判断しなければなりません。
笹田先生は医学的な知識はあふれるほど持っています。しかし、それが臨床の現場で患者さんの中にどのような形で現れているかを見抜くのは豊富な経験が必要です。そして、優先順位をつけて解決して行くことが求められます。これまでは、蓄えた知識と経験を誰かが引き出してくれました。しかし、これからは、それらを自分で優先順位をつけて出していかなければならないのです。
例えば、お腹が痛い患者さんが来たとします。これまでは、「私は、1.胃潰瘍、2.急性胃炎、3.胆石、4.膵炎、5.大腸癌、どれでしょうか?」、これに答えられれば通用しました。でも、これからは、話を聞いて診察した結果、自分の中からこれらを順位をつけて引きださなければならないのです。
笹田先生は、来年4月に私の出身医局である弘大消化器血液内科に入ることが決まっています。研修期間中に福田教授に挨拶に行ってきました。私の長男の直也は消化器血液内科で働いています。話を聞くと、笹田先生とは学生時代から知り合いで、プロレスを一緒に見に行ったりしていたのだそうです。
大鰐出身の笹田先生、大鰐から来ている患者さんにも会いました。これから自分が生まれて育った地域のために頑張ってくれることでしょう。期待しています。
第112号より