黒石病院の研修医2年目の工藤葵です。この度、8月1日から8月31日まで沢田内科医院で研修させていただきました。非常に有意義であり、おそらく普段とは全く異なるであろう診療を経験させていただけた研修となりました。
朝病棟回診から始まって、午前の外来は14時前後までかかり、午後は19時頃まで行っていました。外来の間に内視鏡検査もします。即ち非常に多忙です。先生方やスタッフの方々は非常にご多忙であったと思いますが、研修させていただいていた身としては、多くの患者さんを診ることができ、多くの症例を学ぶことができたため、忙しいに越したことはありませんでした。患者さんから得られる限られた情報から、診療科を問わずに多くの鑑別疾患を挙げることが必要でした。つい内科疾患ばかり考えがちだったので、視野を広げる練習になりました。
沢田内科医院のような開業医の役割について、先生方が様々なことをお話ししてくださいました。その中で感銘を受けたものがあります。毎日何人か、検診で胃カメラや大腸カメラを受けに来る患者さんがいらっしゃいます。そういった患者さんに毎年受けてもらうことが大事で、それが開業医の役割であるとおっしゃっていました。だからカメラは出来る限り痛くしないようにしているそうです。実際、毎年受けている患者さんはあまり苦しそうにはしていませんでした。地域での役割を担うために自分の技術を磨いているということです。私も、日々の勉学が地域の利益になっていくと信じて、それをモチベーションに今後も鍛錬を積みたいと思いました。
実は、8月はまさに弘前市内に新型コロナ感染症が蔓延していた時期でした。沢田内科医院ではその影響をダイレクトに受け、発熱外来に患者さんが殺到していたため、通常診療を制限する事態でした。そのような中で研修を受け入れていただき感謝しかありません。難しいのは、発熱している人の中にコロナが原因ではない患者さんが少なからず混ざっていることでした。短い診察時間で、今後精査を積極的にすべきか判断しなければなりません。症状や背景から、重症化が懸念される患者さんを見極めていました。私は感染症外来で直接診察を行ってはいませんが、自分だったらどのように対応するか考えながら、検体を採取するお手伝いをさせていただきました。本来の通常診療が制限されてしまっていたのは非常に残念でしたが、代わりに貴重な経験をさせていただくことができました。
1ヶ月間、ご多忙の中ご指導していただいた澤田直也先生、澤田美彦先生、非常に親切にしていただいた看護師の方々、技師さん、事務の方々、本当にありがとうございました。毎日ご多忙であったと思いますが、皆さんの明るい雰囲気の中でリラックスした気持ちで研修できました。ピロリ菌の検査をしてもらって陽性だったことですし、将来痛くない胃カメラをしてもらいに通いたいと思います。本当にお世話になりました。
第131号より