弘大臨床研修の地域医療研修として、卒業2年目の研修医、中村邦彦先生が研修に来ました。
10月1日から31日までの研修で、大きな成果を上げて終了しました。 弘大附属病院では、外来患者さんを診察することが少なく、重篤な病気を診る機会はありますが、 風邪や腹痛といった、ありふれた病気を診る機会が少なかったようです。
1ヶ月間の研修では、胃内視鏡検査など特殊な検査を身につけることを目標にしても中途半端に終わってしまいます。 それよりも、外来で患者さんを診察する機会が少なかったので、患者さんを診察して、 問題点を解決することを目標にしました。
どんなことで困って受診したのか話を聞き、自分の手で所見を取るという診察を、1日約20人、2週間行いました。 医師になって2年目ですので、すぐ、外来患者さんの扱い方にも慣れ、3週間目からは、 患者さんの状況に応じた身体所見の取り方に変え、診断だけでなく、治療方針も決めるまでになりました。
中村先生の診療技術が進歩したことを証明する出来事がひとつありました。 ある日、奥さんの甲状腺が大きいようなので、診てもらいたいとのことでした。 前に触った時は、異常がなかったようですが、今回の研修で、触ることができるようになったようです。 来院してもらい、触ってみると確かに甲状腺が大きくなっていました。 幸いにも、特別な治療は必要ありませんでした。 奥さんの甲状腺を通して、中村先生の研修成果が本物であることが分かりました。
中村先生が特に勉強になったのは、津軽弁だったようです。 千葉県出身で、大学病院だけで研修を受けていたために、本場の津軽弁を話す患者さんの言葉は、 分からないことが多かったようです。 それでも、何とか意味を理解して診察していました。来年4月からは、 地元近くの大学病院で専門研修に入りますが、弘前で暮らしたことが、 さらに強く印象付けられる機会になったようです。
弘大臨床研修を引き受けることは、他の医師に私の医院の診療を直接見せることになります。 また、私自身もいい加減な態度や知識では若い研修医を指導することが出来ませんので、 私自身の研修にもなります。これからも、この研修は続けて行きたいと思っています。 皆様方のご協力もよろしくお願いいたします。
第30号より