社会の複雑化により、外来患者さんの相談内容が、精神的なこと、 いわゆるメンタルヘルスに関することが多くなってきました。 外来診察室は防音ではありませんので、診察室での会話の声が、 当然のこととして外で待っている人たちの耳に入ってしまいます。 そのため、診察室では声に出して相談できず、そのまま帰ってしまった患者さんもいることと思います。
たくさんの患者さんが来て、点滴や検査などを診察と平行して行っていますので、 それらに気を配るためには、診察室を完全に防音にするわけにはいきません。 これまでのように、処置室の状況は分かるようにしながら、 待合室へは話の内容が伝わらないように防音壁で仕切りました。 完全な防音ではありませんので、中で診察していることは分かりますが、 その話の内容は分からない状態になりました。
患者さんの数がもっと少なくても経営が成り立つ医療制度であれば、 完全な個室で診察することも可能です。 しかし、現在の日本では大きな病院でさえ薄い壁やカーテンで仕切っていることが普通です。 個人情報保護が大事だといわれますが、 このあたりにもっとお金がかけられるような制度になることを期待しています。
外来のスペースは、開業する時の設計段階では大きくスペースをとったはずでした。 しかし、医療の進歩で物が多くなり、だんだん手狭になってきました。 自然に器械類や戸棚などのスペースが大きくなり、人がいるスペースが狭くなってきました。 時代が進むにつれて、医療の内容も変わり、必要なスペースも変わってきます。
さっそく患者さんから反応がありました。「あれっ、自動ドアではないんですか?」と。 自動ドアにすることはまったく考えていませんでした。 玄関とトイレは自動ドアですが、エレベーターも含め、自動的に動くものは、 保守点検など維持するのに大変なお金がかかります。
第36号より