たらの刺身を食べた後に腹痛を起こしました。弓なりになって胃に突き刺さっているテラノーバが見えます。

夕食に刺身を食べた夜中に、お腹の痛みに見舞われたことはありませんか?これは細菌感染による急性胃腸炎です。食中毒はウイルス感染の場合もありますが大部分は下痢を伴います。しかし、下痢をせず、痛みが強い場合には別の病気を考えないといけません。その中のひとつに、刺身の中に潜んでいた虫が胃に突き刺さることにより激痛をきたす、「胃アニサキス症」があります。この虫体は胃内視鏡検査で見えますので、生検鉗子でつまみ出すことが出来ます。内視鏡で取り出した後は、痛みは間もなく消えてしまいます。当医院でも、ここ数年で6人の患者さんからアニサキス虫体を取り出しました。

鉗子でつかみ、胃から引き離しました。このままの状態で内視鏡ごと引き出して治療は終わりです。

普通は「胃アニサキス症」といいますが、青森県ではアニサキスよりも太くて長いテラノーバが刺さっていることが多いです。内視鏡で見るとアニサキスは細く透明感がありますが、テラノーバは大きく、多少黄色味があり透明ではありません。このふたつの虫は、寄生している魚の種類にも、症状にも違いがありませんので、厳密に区別する意味はほとんどありません。

刺身を食べて胃が痛くなったときには何も食べずに来院してください。無理をして食べると、食物のために虫体を探し出すことが出来ません。一般には食事をして数時間すると食物は小腸の方へ出て行きますので、胃の中は空になります。