平成20年から弘前市の基本検診が「特定健診」に変わりました。「腹回り」、「血圧」、「血糖」、「脂肪」、この4つの項目でメタボリックシンドロームの人を早めに見つけ出そうとするのが「特定健診」の『特定』の意味です。
貧血や肝臓病などを早めに見つける健診とは違います。ですから、対象は将来が短い75歳以上の人たちは除外されているのです。 ついでですが、75歳以上の人は「後期高齢者」と言われていますが、「末期高齢者」ではありませんからご安心下さい。
最近、高血圧に関するアンケート調査がありました。そこで、沢田内科医院にどれくらいの患者さんが通院しているのかを調べてみました。高血圧の薬を飲んでいる人は、約1,300人いました。ついでに調べてみると、糖尿病は350人、コレステロールなど脂質異常は300人でした。高血圧、糖尿病、脂質異常症の3つを同時に治療している人もいますし、2つを併せ持っている人もいます。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症と名前は違いますが、この3つの病気を治療するのは、極端に言うと、将来、『脳梗塞と心筋梗塞にならないため』です。私は、この中で特に糖尿病に力を入れて治療しています。糖尿病の3大合併症が、「網膜症」、「腎症」、「神経障害」です。つまり、目が見えなくなる、腎不全で透析が必要になる、足の感覚がなくなり腐ってくる、この状態にならないためです。また、糖尿病の患者さんは、「脳梗塞」と「心筋梗塞」になる可能性が高くなります。
糖尿病の患者さんは、足の血管が詰まって壊死になることがあります。これまでは、症状を聞く、足の皮膚の色を見る、足の血管の脈拍を触れる、などで診断してきました。昨年から、足の動脈硬化を見る「血圧脈波検査」を取り入れました。これは、腕と足の血圧を測って、足の血管の詰まり具合を予想する検査です。これで異常があれば、血管を専門とする病院で詳しく検査をしてもらっています。
この検査を取り入れた結果、これまで分からなかった血管の詰まりが分かり、薬で治療したり、場合によってはカテーテルを使って拡げてもらう手術をしてもらった人がたくさんいます。
この検査をする前に、足の診察をします。これで分かったことは、水虫が多いことでした。中には水虫から細菌が中に入り、下肢が赤く腫れてしまった人も何人かいました。水虫は、顕微鏡で見るとカビが見えますから、これで確認しています。皮膚の水虫は塗り薬で治りますが、爪まで水虫が入り込んだ人は飲み薬が必要です。
栄養指導をするために管理栄養士さんに来てもらうことが決まりました。眼底カメラはこれまでもやっていました。足の動脈硬化の検査ができるようになりましたので、これらに加えて、振動覚の検査、足の診察、水虫の検査、などを系統的に行う外来システムを作ることにしました。また、歯周病に関する検査もできるようにしたいと考えています。検査技師の宇野洋子さんは糖尿病療養指導士になりました。小堀未希さんは糖尿病に関することを勉強中です。来年4月からの特別な外来にご期待下さい。
第71号より