11月18日に弘前地区小学校長会と弘前市中学校長会の合同研修会で講演しました。これまで、平成19年に小学校、平成22年に中学校の校長会で講演を依頼されたことがあります。弘前市内には市立の小学校35校、中学校16校があり、弘大附属小中学校、私立の聖愛中学校もあります。また、隣には西目屋小学校があります。これらの学校の校長先生方が対象でした。
私は昨年の6月から弘前市教育委員を務めていますが、教育委員になれば校長会で講演するということはないようでしたので、沢田内科医院の院長としての依頼だったようです。
校長先生たちの研修会ですので、私自身の教育に対する思い、医療機関での教育のことの二つを中心に話の内容を考えました。演題名が必要ですので「ある開業医と教育」としました。まず、私自身が非常に強い影響を受けた、弘前高校の小田桐孫一校長との出会いから話を始めました。最も力説したことは、もちろん『天下の賢』です。その他に、「一隅を照らす」、「持って生まれた物を深くさぐって強く引き出す人」、「他律的学習と自律的学習」、「規律ある自由」というキーワードで話を構成しました。
高村光太郎の詩、「少年に与う」の中に、「偉い人、名高い人になろうと決してするな。持って生まれたものを深くさぐって強く引き出す人になるんだ。天から受けてものを天にむくいる人になるんだ。それが自然とこの世に役立つ」という下りがあります。小田桐孫一校長は、「持って生まれたものを深くさぐって強く引き出す人」になるのだと説きました。そして、各々の仕事や生活を通じで、世のため人のためになるように努力実行する人、つまり、「一隅を照らす人」、これが「天下の賢」だと私たちに教えました。「弘高生の諸君、この使命感に生きよ!一隅を照らす人、天下の賢を目指せ!」と校長講話で繰り返し強調したのです。
小田桐校長は、高校生が具体的にどのように行動するかについては、『天下の賢』の人間像を求めて、「何を学び、いかに学び、何をなし、いかになすべきか」を深く考えてみようと呼びかけたのです。今回の講演では、このことが私自身のバックボーンになっていること、その後の体験を交えながら話しました。
後半部分は、沢田内科医院での具体的な教育面での話をしました。沢田内科医院の医療レベル向上のための教育、若い医師の臨床研修の話、医師会看護専門学校のこと、私の故郷の小中学生に関連したこと、「常に考える」をキーワードとした「職員中心の医療」を実践する沢田内科医院のこと、などです。これらのお話をして、学校経営の参考になるヒントが得られることを期待して講演を終わりました。後半部分に関しては、これまで沢田内科医院ニュースレターに繰り返し書いてきましたので、ここでは触れません。
校長という立場で組織を運営する上では、医院の経営と共通することがたくさんあります。しかし、医療分野の私が意図した内容と別の受け取り方をしたかもしれません。私自身が自分の思いを伝えることができたのかどうかという思いもありますが、異なる業種の人たちに対して話をすることは、私自身にもすごく勉強になります。
第97号より