取り替え子
大江健三郎著、講談社
★★★☆☆
2001/01/03 掲載

残した録音テープを通して自殺した義兄の吾良(ごろう)と古義人(こぎと)が旧制高校時代からのことを語り合うという手法で、初めのあたりは状況がよく理解できなかった。吾良が伊丹十三で、古義人が大江健三郎であることはすぐ分かりました。息子の光君もアカリとして出てきます。これまで大江健三郎の本を最後まで読んだことがなかったが、今回は努力をしながら最後まで読み終えました。しかし、何を言いたいのかははっきり分からなかった。本の中で吾良が古義人に「読んでいる人に理解してもらう企業努力が足りない」と指摘している部分があり、理解できないのが普通なのかと安心しました。ノーベル賞作家とは比べられないが、なんと私は短小軽薄な薄っぺらな人生を送っているのかと思いました。